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日外会誌. 107(4): 192-195, 2006


外科学会会員のための企画

外来化学療法

外来化学療法の実際と副作用対策

浜松オンコロジーセンター長 

渡辺 亨

I.内容要旨
がん化学療法の有用性が認識されるとともに,抗がん剤,吐き気止め,抗生物質など,各種の薬剤開発が確実に進み,患者の社会的,日常的なQOLを維持あるいは向上させるため,乳癌,大腸癌,卵巣癌,肺癌などの「コモンキャンサーズ」に対するがん化学療法は,安全かつ効果的な外来通院をベースに行われるようになった.外来化学療法を実施する上での行政的裏付け,体制,人員,設備面での整備に関する要点をまとめた.また,特に注意すべき点として,がん化学療法については十分な理解が重要であることをここで指摘しておきたい.とくに,化学療法を実施する状況は(1)術前,術後化学療法といった「初期治療」,(2)転移・再発後治療に大別され,初期治療の目的は手術,放射線照射などの局所治療を併用し疾患を治癒されることにあることや,微少転移に対する全身療法の意義を医師が正しく理解し,患者に正確に説明し理解を求めなくてはいけない.この点が不十分であると,医師,患者が副作用を恐れるあまり投与量や投与期間を安易に減弱させてしまい本来,得られるべき効果が得られないという結果になりかねない.いくら外来化学療法の体制を整備しても,意味の乏しい医療を繰り返すことのないよう本質をわきまえることが重要である.

キーワード
外来化学療法, 抗癌剤, 乳癌, 薬物療法, 腫瘍内科


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