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日外会誌. 107(3): 150-157, 2006


総説

凍結ヒト心筋細胞移植―凍結処理が移植細胞の増殖能,抗原性に与える影響―

1) 東邦大学医学部 医学科外科学講座心臓血管外科
2) 東邦大学理学部 生物分子科学科

横室 浩樹1) , 塩野 則次1) , 小澤 司1) , 藤井 毅郎1) , 渡邉 善則1) , 小山 信彌1) , 岡田 光正2)

I.内容要旨
再生医療における移植細胞の凍結保存と凍結細胞移植に関して検討を加えた.【方法】ヒト右心房筋から心筋細胞を分離(コントロール群(n=13)),ヒト心筋細胞および細片化心筋を凍結,1週間後に解凍(分離)(Cell-C.P.(cryopreservation)群(n=23),Tissue-C.P.群(n=29))し15日間の増殖率を測定した.細胞増殖率:細胞増殖曲線を描出し検討した.生化学的検査・細胞周期:凍結前後に培養液中のGrowth factor,cytokine,および細胞周期を測定した.リンパ球混合培養試験:末梢血リンパ球と凍結(非凍結)心筋細胞を混合培養しリンパ球への刺激性を検討した.In vivo:凍結細胞をラット大腿部に移植し,2週間後に肉眼的,病理学的に検討した.【結果】ヒト心筋細胞は分離培養および凍結保存が可能であった.凍結処理は,bFGF,TGF-β1の分泌促進,細胞周期のG2+M期へ移行する事により,細胞の増殖能を促進させた.さらに,凍結処理はサイトカイン分泌を減少させ,リンパ球への刺激性が減少する事から,その抗原性が減少することが示唆された.凍結細胞も非凍結細胞と同様に移植細胞として使用が可能であった.

キーワード
ヒト心筋細胞, 凍結保存法, 細胞移植


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