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日外会誌. 107(3): 128-132, 2006


特集

大腸癌両葉多発肝転移に対する外科治療

6Neoadjuvant chemotherapy

浜松医科大学 第2外科

鈴木 昌八 , 坂口 孝宣 , 中村 利夫 , 中村 達 , 今野 弘之

I.内容要旨
大腸癌肝転移の最良の治療法は肝切除術である.しかし,多くが両葉多発肝転移例であるため,切除の対象となるのは約25~58%の症例にすぎない.効果的な抗癌剤の出現と投与法の工夫による化学療法の奏功率向上により,切除不能両葉多発肝転移にNeoadjuvant chemotherapyを施行した後に肝切除術を行う症例が増加してきている.Neoadjuvant chemotherapyによる奏功率は投与薬剤や投与ルートにより異なるが,16~63%と報告されている.奏効例を中心に肝切除術を行った結果,術後5年生存率20~48%が得られている.大腸癌両葉多発肝転移例に対する治療戦略として,Neoadjuvant chemotherapyは肝切除適応を拡大し,治療成績向上に貢献する可能性があり,本治療法により両葉多発肝転移が制御できる症例には積極的に肝切除術を考慮すべきである.

キーワード
大腸癌肝転移, Neoadjuvant chemotherapy, 肝動注化学療法, 全身化学療法, 肝切除


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