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日外会誌. 107(2): 81-85, 2006


特集

悪性腫瘍に対する内視鏡外科の現状とその評価

7.大腸癌

1) 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 内視鏡外科学講座
2) 先進医療開発科学講座 

岡島 正純1) , 池田 聡1) , 恵木 浩之1) , 吉満 政義1) , 浅原 利正1)

I.内容要旨
大腸癌に対する腹腔鏡手術が始まって15年が経過した.日本内視鏡外科学会のアンケート調査(2003)によると,わが国における腹腔鏡下大腸癌手術の件数は年々コンスタントに増加し,2003年には進行癌の割合が早期癌を上回った.アクセス法ではHALSよりpure laparoscopic surgeryが広く行われている.この両者をうまく使い分ければ,すべての部位の大腸癌に対して腹腔鏡手術を行うことが,技術的には可能である.アプローチ法では内側アプローチがスタンダードとなっている.わが国では,より安全な内視鏡手術の普及を目指して,技術認定制度が2004年に始まった.大腸に関しては腹腔鏡下大腸癌手術のビデオを提出することを課して,内視鏡手術手技のみならず,癌の手術としての力量も審査されている.臨床研究では,欧米の進行大腸癌を対象とした開腹手術とのrandomized controlled trial(RCT)で腹腔鏡手術と長期手術成績においても差がないとの結果が報告された.しかし一方で,これらの研究には様々な問題点があることも明らかとなった.このことを踏まえて,より手術技術のquality controlを重視した日本独自のRCT(JCOG0404:北野班)がスタートし,その結果が待望される.

キーワード
腹腔鏡手術, 大腸癌, 治療成績, 手技, 臨床研究

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