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日外会誌. 106(12): 755-759, 2005


特集

重症熱傷の治療

7アログラフトとスキンバンク

1) 杏林大学 救急医学
2) 杏林大学 組織移植センター
3) 日本スキンバンク ネットワーク事務局

田中 秀治1)2)3) , 青木 大2)3) , 島崎 修次1)2)3)

I.内容要旨
アログラフト(凍結同種保存皮膚)とはヒト(死体)から採取した皮膚(同種皮膚)を皮膚の生理的活牲(viability)を低下させることなく長期間超冷凍保存したものをいう.この同種皮膚は現在ももっとも理想に近い生体材料と世界中で認識されている.本邦では1990年代に多施設参加型のスキンバンクネットワークシステムが構築され,現在では53施設が参加し,わが国のおもな熱傷施設をカバーできる日本スキンバンクネットワークとして成長するに至った.また,スキンバンク専属のコーディネーターを設置し,皮膚提供家族とのコミュニケーションから,採取,保存,供給作業を行うことにより,よりクオリティの高いシステムを構築している.昨年には近畿スキンバンクと統合し,日本スキンバンクネットワーク(JSBN)として新たなスタートを切った.
日本スキンバンクネットワーク(JSBN)では1994年の設立以来,2004年までの11年間で,214人の方から皮膚の提供を受けた.また,295人に472回の皮膚の供給を行ってきた.同種皮膚移植を行った臨床成績を考察した結果,表皮成分の残存する深達性II度熱傷には良い適応であり,burn index 40~80までのもっとも救命効果の高い範囲( 図1中※印)において,10~20%の死亡率の改善を認めている.現在あらゆる代用皮膚の中でも拒絶の欠点を考慮しても,凍結同種皮膚のもつ臨床的効果は高い.

キーワード
アログラフト, 広範囲熱傷, スキンバンクネットワーク, 日本組織移植学会, 認定コーディネーター

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