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日外会誌. 106(12): 750-754, 2005


特集

重症熱傷の治療

6.熱傷に対する培養表皮の臨床応用

聖マリアンナ医科大学 形成外科

長瀬 健彦 , 熊谷 憲夫

I.内容要旨
現在,さまざまな分野において,Tissue engineering技術を応用した組織・臓器再生医療が行われるようになってきたが,皮膚は各種組織の中でも再生医療が最も進んだ分野であり,多くの施設で培養表皮の臨床応用が進められている.
広範囲重症熱傷においては,恵皮部が少ないため,創閉鎖に難渋することが多い.このような場合,培養表皮移植は,最も効果的な創面被覆手段の一つであると考える.
培養表皮移植では,「皮膚」ではなく,より脆弱な「表皮」を移植するため,移植に先立って,母床の状態を如何に調えるかが生着率に大きく関わる要因となる.
現時点においては,早期に同種皮膚移植を行い,拒絶されるまでの約2週間で表皮培養し,同種真皮上に移植を行っているが,今後は人工真皮の応用などで,同種皮膚移植に伴う問題点などを克服するのが課題となる.
また,培養表皮移植による熱傷瘢痕治療や,表皮細胞から放出される創傷治癒促進因子を利用した治療法に関しても,その有用性を述べる.

キーワード
重症熱傷, 熱傷瘢痕, 創傷治癒, 培養表皮


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