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日外会誌. 106(11): 717-720, 2005
外科学会会員のための企画
医療と日本文化
メスと掌
I.内容要旨
私はこれまで二度の手術をうけて,腹部に二本の線条痕がのこされている.近代医学の「メス」のおかげでこれまでの生命を維持することができた.しかし同時に,手術後の身心機能の回復のためには,鍼灸治療をはじめとして坐禅やヨーガの実践から多くの恩恵を蒙ってきた.そしてその場合,治療者や自分自身の「掌」がもっている緩やかな治癒力を実感することができるようになったのである.
周知のように,近代医学は治療のための普遍的なシステムを確立してきたが,宗教や民族を異にする文化や文明においては,それぞれ固有の身心治療のための伝統的なシステムをつくりあげてきている.その二つの異なったシステムのもつ象徴的な意味を「メス」と「掌」というキーワードで明らかにしようとするとき,どのような問題点が浮かびあがってくるだろうか.そのことを西の文明と東の文明,キリスト教文化圏と仏教文化圏の対比にもとづいて考察し,その歴史的背景を探ろうとしたのがこの論文である.
キーワード
メス, 掌, 心臓交換, 心臓瞑想
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