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日外会誌. 106(8): 463-467, 2005


特集

内分泌外科の臨床診断と外科治療

3.進行甲状腺癌

癌研有明病院 頭頸科

杉谷 巌

I.内容要旨
進行甲状腺癌の外科的治療において,最も頻繁に問題となるのは分化癌(乳頭癌)の甲状腺外他臓器浸潤である.一般に予後の良い分化癌でも,明らかな他臓器浸潤は特に高齢者においては重要な予後不良因子となる.しかし,手術によって癌が癒着した臓器を鋭的に剥離できた症例の予後は良好で,microscopicな癌の遺残は分化癌の再発率,生存率に影響しないといわれている.腺外浸潤の診断には嗄声,呼吸困難,嚥下障害などの臨床症状のほか内視鏡的検査やCT,MRI所見が参考となるが,癒着と浸潤の区別は容易でないことも多く,他臓器への進展が疑われる症例でも,手術は鋭的剥離の可能性を考慮して保存的に進めるのがよい.
局所進行癌では遠隔転移を併発することが多いうえ,最終的に未分化転化をきたす症例もあり,侵襲の大きな他臓器合併切除手術は生命予後を改善しないとする意見がある一方,安全で機能を保持した拡大切除・再建手術の進歩により,重大な局所症状を除去することが患者のQOL保持につながるとの考えもある.甲状腺分化癌の多くはslow-growingであり,その治療方針の決定にあたっては,腫瘍のnatural historyを考えたうえでの,根治性と機能保存とのバランスが求められる.
本稿では反回神経,気管・喉頭,食道・下咽頭,頸部主要血管,および縦隔浸潤に対する対処法について述べた.

キーワード
甲状腺癌, 高危険度癌, 腺外浸潤, 他臓器合併切除手術, 再建手術


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