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日外会誌. 106(5): 328-333, 2005
特集
心血管疾患合併症例の非心臓手術における評価と管理
3.弁膜症合併例
I.内容要旨
手術は一般的に侵襲的であり,心疾患合併症例は手術侵襲により致死的な心不全に陥る可能性がある.特に,弁膜症の中で大動脈弁狭窄症を合併する場合,非心臓手術のリスクは高い.高度心不全症例ではリスクを低減するため,非心臓手術に優先してバルーン交連切開や弁置換が必要となる場合もある.一方,有症状の弁逆流病変では,通常非心臓手術周術期には血行動態がよく保たれむしろ非心臓手術を優先してもよい.しかしながら,いずれにしても低左室機能例(左室駆出率=LVEF<40%)は例外で,血行動態的許容範囲が大変狭く,術中血行動態が崩れる可能性が高いので注意を要する.十分な心機能モニタ下に非心臓手術を実施するが,手術侵襲や麻酔剤,鎮痛剤,輸液は,心機能に多大な影響を及ぼすため,各心疾患の病態に基づいた術中管理が必要である.弁逆流性病変合併例では,後負荷を低下させ弁逆流を減少させるよう管理し,弁狭窄性病変合併例では循環血液量を適正に保つ必要がある.前負荷の不足は循環虚脱を来たし,前負荷の過剰はうっ血性心不全を来たす.麻酔法や麻酔剤の手術成績に対する影響は少なく合併疾患や手術法がもっとも重要な予後決定因子とされる.
キーワード
心臓弁膜症, 周術期管理, 非心臓手術, 手術侵襲, 手術合併症
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