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日外会誌. 106(4): 275-279, 2005
特集
進展様式に基づいた消化器癌手術のこつと工夫
2.食道癌―en bloc dissectionを目指した食道癌手術手技―
I.内容要旨
食道癌の最大の特徴はリンパ節転移の広汎さにあり,これに対する手術は困難であっても
en bloc dissectionを志向すべきである.さもないと「右胸腔からのアプローチによる食道抜去+リンパ節サンプリング」になってしまう.胸部操作では106preの右迷走神経心臓枝より腹側の部分と大動脈弓下の深部をのぞいて,郭清すべきリンパ節はすべて食道側に付着した状態で手術を終了できる.右反回神経より背側の101Rは甲状腺下極近くまで胸部から郭清され,106preの右迷走神経心臓枝より背側の部分も食道に付着したまま剥離される.右気管支動脈を温存しつつ食道および胸管を含む食道周囲結合織を一体として剥離して椎体骨表面,下行大動脈表面を露出する.上縦隔高位で食道を牽引しつつ106recLを含んだ縦に連なった結合織を食道につけたまま気管左側壁から鋭的剥離し,この中から左反回神経を分離する.左下肺静脈の尾側の112pulLも食道から剥がすことなく郭清できる.大動脈左側の112aoも充分追跡する.腹部操作では胃癌に対するD2郭清と同様に郭清を進め,左胃動脈流域の3番リンパ節を再建用挙上胃側に残さないよう留意すれば,すべてのリンパ節は切除側に付着したまま郭清される.頸部101は別取りとなるが,その郭清域は両側とも明瞭に縦隔側からの郭清空間に連続する.筆者らはこの様に細部まで徹底した
en blocへのこだわりが手術成績向上へのキーと考えている.
キーワード
食道癌, 上縦隔郭清, 3領域郭清, 節外脂肪織, en bloc dissection
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