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日外会誌. 106(3): 241-246, 2005


特集

術後静脈血栓症・肺動脈血栓塞栓症の予防と治療

5急性肺血栓塞栓症の治療(内科的立場から)

三重大学医学部 内科学第1講座

太田 覚史 , 山田 典一 , 中野 赳

I.内容要旨
急性肺血栓塞栓症の内科的治療には,抗凝固療法,血栓溶解療法,カテーテル血栓吸引破砕療法,下大静脈フィルター留置などがある.禁忌でない限り,まず抗凝固療法が施行され,急性期は未分画ヘパリン静注,慢性期はワルファリン経口投与が用いられる.禁忌例を除き,ショック,失神を伴うような広汎型肺血栓塞栓症では血栓溶解療法が適応となる.また,最近では血行動態が安定していても心エコー上,右心負荷所見のみられる症例は予後不良の為,血栓溶解剤を使用すべきとの報告もある.本症では再発予防も重要であり,塞栓源である下肢に残存した深部静脈血栓が再度肺動脈に流入するのを予防する目的で下大静脈フィルターが使用される.
血栓溶解療法が禁忌,無効の広汎型肺血栓塞栓症には冠動脈形成術用ガイディングカテーテルを用いた血栓吸引やガイドワイヤや回転式ピッグテールカテーテルを使用した血栓破砕が行われる場合もある.
その他,必要に応じて酸素投与,カテコラミン投与,また重症例では経皮的心肺補助装置(PCPS)等の呼吸循環管理が使用される.
急性肺血栓塞栓症の治療の現状を内科的立場から概説した.

キーワード
肺血栓塞栓症, 抗凝固療法, 血栓溶解療法, カテーテル血栓吸引破砕療法, 下大静脈フィルター

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