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日外会誌. 105(9): 489-493, 2004


特集

癌治療における最近のトピックス

5.胃癌-腹腔鏡下手術と補助化学療法の最近の進歩

大阪医科大学 一般・消化器外科

谷川 允彦

I.内容要旨
低侵襲治療への関心と抗癌剤化学療法の治療成績の向上から最近の胃癌治療様式は次第に変化してきている.本稿では,その中で早期癌に対する腹腔鏡下手術と進行癌切除後の補助化学療法について最近の動向を記した.腹腔鏡下胃癌手術は『胃癌治療ガイドライン』によって,リンパ節転移の可能性のある早期胃癌に対する研究的治療として推奨されているが,手術機器の進歩もあいまって,次第に普及してきており,施行症例数は年をおって増加している.その合併症回避のための腹腔鏡下Roux-Y再建術の実際を紹介した.
進行胃癌に対する補助化学療法の延命効果に関しては,これまで数々のランダム化比較試験が行われてきたが,いずれの単一のRCTもその有用性を証明するにいたらず,メタアナリシスのみでその有用性が主張されてきた.これは抗癌剤感受性とは無関係に一律の補助化学療法が行われてきたためと考えられ,抗癌剤感受性試験の補助化学療法における有用性を検証するための臨床試験を現在企画中であり,その要綱を提示した.

キーワード
腹腔鏡下胃癌手術, Roux-Y 吻合, 補助化学療法, 抗癌剤感受性試験, ランダム化比較試験

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