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日外会誌. 105(8): 454-458, 2004
特集
外科領域における再生医療の現況と展望
6.心筋細胞の新生,再生療法の現況と展望
I.内容要旨近年の分子発生生物学の発展により,神経細胞など従来は不可能と考えられていた細胞の再生も可能となってきた.心筋細胞もその1つで胚性幹細胞(Embryonic stem cell,ES細胞),骨髄間葉系幹細胞,心臓幹細胞などから再生出来ると報告されている.またG-CSFなどのサイトカインを用いてこれら幹細胞を効率的に動員させる試みもなされている.実験動物レベルでは心筋梗塞巣周囲に幹細胞を注入・移植すると,再生心筋細胞や新生血管が認められ,心機能の改善が得られる.しかしながら再生心筋細胞の数はごくわずかであり,再生心筋細胞によって心機能の改善が得られたとは言い難い.また幹細胞から心筋細胞へと分化誘導される詳細な機序についても解明されていない.ただ,自家骨髄単核球細胞を用いた重症狭心症治療など臨床応用を目指した試験も行われ,少数例ではあるが好ましい結果が得られている.循環器領域における再生医学は,臨床応用可能な再生医療に向けて着実に前進している.
キーワード
心筋細胞, 分化誘導, ES細胞, 間葉系幹細胞, 細胞移植
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