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日外会誌. 105(8): 445-453, 2004


特集

外科領域における再生医療の現況と展望

5.膵臓再生医療

1) ステムセルサイエンス株式会社研究開発部門, 財団法人先端医療振興財団先端医療センター, 神戸市地域結集型共同研究事業内胚葉グループ
2) 京都大学再生医科学研究所 器官形成応用学講座

堀 洋1) , 中山 直憲1) , 井上 一知2)

I.内容要旨
多岐にわたる学問領域に支えられた新しい研究として『再生医学』が成り立ち,“(幹)細胞”,“マトリックス(足場)”,“増殖・分化調節因子”などの研究成果として明らかにされつつある“細胞利用による組織・臓器の機能の再生・再構築”,すなわち,組織再生機構を医療に応用して機能障害・欠損・不全に陥った生体組織・臓器の治療を行う『再生医療』が注目を集めている(図1).
膵臓関連疾患においても,細胞を利用した膵臓器・組織の機能再生・再構築が治療法として応用されつつあり,膵臓器移植や膵島細胞移植が糖尿病罹患患者の治療法として有効な再生医療の一つと考えられる.特に近年,Edmonton Protocolの実施により,膵島移植による効果的なインスリン離脱が報告され,糖尿病治療は新しい段階を迎えたということも可能である.しかしながら,深刻なドナー不足や免疫抑制剤長期使用などの問題からいまだに多くの患者に質の高い医療を提供できるに至っていない.これら問題の解決に対し,膵島細胞の分離技術や分化・誘導技術,高分子(免疫隔離)膜技術,効果的な移植手法の開発,さらには,これらを組み合わせた“バイオ人工膵”移植システムを用いた根本的な糖尿病治療の開発と臨床応用を進めることが注目を集めている.なかでも,組み込まれる再生膵島細胞として,ヒト細胞や代替ドナーソースであるブタ細胞はもとより,幹細胞や胚性幹細胞から分化誘導させた再生膵島細胞の応用研究が着目されている.

キーワード
糖尿病, 胚性幹 (ES)・幹細胞, 再生膵島細胞

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