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日外会誌. 104(12): 822-827, 2003
特集
外科的侵襲に対する生体反応:最新の知見
4.侵襲後の免疫系の変動と感染防御
I.内容要旨免疫系は,微生物,ウイルス,異物などの外来抗原から生体を守るため,自己抗原と外来抗原を識別するために発達したシステムであり,治療の過程で皮膚・粘膜といった物理的感染防御機構を破綻させる外科領域では,特に微生物から生体を守る感染防御機構としての働きが重要である.このような免疫系において中心的役割を果たしているものが単球・マクロファージ,natural killer(NK)細胞,リンパ球,そして好中球である.これら免疫担当細胞はお互いに各種表面抗原やサイトカインなどのメディエータを介して強調し生体防御を司っている.実際にはT細胞中CD4+細胞はMHCクラスIIを,CD8+細胞はMHCクラスⅠを介して抗原認識する.外科侵襲後には早期から単球のMHCクラスⅡ抗原の発現率低下とTh1系CD4+T細胞の機能不全がみられ,侵襲が大きいほどその低下は顕著である.このような病態では感染性合併症が引き起こされやすい環境にあり,これらの機能をup-regulationするような対策が重要である.また最近では感染防御機構として,非特異的免疫機能として自然免疫の役割が注目されている.たとえばToll like receptorが発見され,マクロファージ系細胞が微生物などの抗原分子をどのように認識しているのか解明されてきた.また肝臓の免疫担当臓器としての役割,すなわち肝臓のNK細胞やNKT細胞は細菌やエンドトキシンなどに対して防御的役割を果たしていることが解ってきた.本稿では外科侵襲時の免疫応答について,単核球系細胞での特異的表面抗原やサイトカイン産生能に着目し解説した.
キーワード
抗原提示, Th1・Th2サイトカイン, NK細胞, Toll-like receptor
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