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日外会誌. 104(11): 785-788, 2003
特集
Sentinel node navigation surgeryの現状と展開
5.各臓器癌におけるSNNSの現状とその成績
e.胃癌
-リンパ流域郭清を伴う縮小切除術-
I.内容要旨1993年2月より2003年3月までに術前早期胃癌と診断した240例に術中リンパ系描出をおこなった.使用したトレーサーは2% patent blueで,術中内視鏡で胃癌周囲粘膜下4箇所に0.2mlずつ注射した.色素は直ちに胃の5つのリンパ区分を単数または複数で染め出した.この染色リンパ流域を,lymphatic basinとした.lymphatic basinは速やかに郭清され,ex vivoで青色リンパ節が抽出され,迅速病理診断に供された.転移陽性38例と陰性32例にはD2またはD3と胃の2/3以上切除を,陰性23例にD1と胃の2/3以上切除が,残り140例に縮小手術が行われた.なお,7例が描出不成功であった.具体的な術式は,胃分節切除術48例,胃局所切除術34例,小範囲幽門側胃切除術32例,噴門側胃切除術26例であった.術死はなく,転帰は,術後経過年数の中央値4年3カ月で,無再発生存134例,他病死・他癌死6例であった.残胃の癌が3例に認められ,2例は多発胃癌,1例は切除断端陽性が原因であった.非胃癌死を含む生存曲線は縮小手術と定型手術例との問に差を認めなかった.QOLを術後1年以上経過例でみると,食餌摂取量・体重回復が縮小手術群に良好で,ダンピング症状は,縮小手術群が3%と,定型手術群の14%に比べ発生率が低かった.また,胆石発生率は縮小手術群3%で,定型手術群の14%より低かった.これらの成績は,センチネルリンパ節生検が早期胃癌の縮小手術の適応決定に有用であり,また縮小手術は患者のQOL向上に役立っていることを示している.
キーワード
胃癌, 手術, センチネルリンパ節, リンパ節郭清, QOL
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