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日外会誌. 104(11): 781-784, 2003
特集
Sentinel node navigation surgeryの現状と展開
5.各臓器癌におけるSNNSの現状とその成績
d.食道癌
I.内容要旨従来,きわめて多彩なリンパ節転移を呈する食道がんではSentinel node(SN)理論の適用は困難であると考えられてきたが,近年,他の消化管がんとともに研究が開始されている.食道がんにおけるSN同定はその解剖学的特性からラジオアイソトープ標識コロイド法(RI法)が必須であり,リンフォシンチグラフィーによるSN分布の検索が有用である.胃がん,大腸がんに比してSNは多数,多方向性に分布するが,基本的には食道がんにおいてもSN理論が成立するとの報告が散見され,とくにcT1N0症例では微小転移検出に有用である.標準手技を確立したうえでの多施設共同研究の開始が望まれる.外科治療においては画一的な拡大リンパ節郭清にかわって個別的な切除郭清を実現する手段として期待される.とくに欧米で増加傾向にあるBarrett腺がんを含む食道胃接合部がんにおいてはリンパ流,SN転移状況に応じたアプローチの個別化が期待される.また,cT1N0食道がんに対する化学放射線療法や内視鏡的粘膜切除術(EMR)相対的適応症例に対する補助療法の際の照射野に微小転移初発領域としてのSNを含めることも臨床応用として期待される.SNを標的とした精密な微小転移検索は正確なステージングのために有用であり,的確な補助療法の適応決定に役立つ.食道がんにおけるSentinel node navigation surgery(SNNS)は外科的治療の個別化のみならず,集学的治療遂行の上でもその応用が期待される.
キーワード
Sentinel node, 食道がん, リンパ節郭清, 微小転移
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