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日外会誌. 104(9): 611-614, 2003
特集
食道良性疾患の外科治療
8.腐蝕性食道炎
I.内容要旨腐蝕剤の飲用は食道のみならず通過した消化管に炎症を惹起する.重症腐蝕性上部消化管炎における縦隔炎,化学性腹膜炎,消化管穿孔は致命傷となる可能性がある.特にアルカリ腐蝕剤の場合は,蛋白と結合した後OH
ーイオンをたえず放出するため,より深層へと炎症が浸潤していき遅発性穿孔を引き起こすことがあると報告されている.そのためアルカリ誤飲の場合は特に,炎症所見を過小に評価することないよう注意が必要であるにもかかわらず,急性期における手術適応についてのコンセンサスは得られていないのが現状である.現在我々は,消化管粘膜の損傷程度の予想として内視鏡を,縦隔炎,化学性腹膜炎の評価にはCTを,全身状態の指標に血液ガス分析を行い,その結果より手術適応を決定している.急性期における手術は,過大侵襲となることのない様炎症浸潤のある臓器のみの切除とし,再建は二期的に施行している.積極的に手術を施行し,良好な成績をおさめているので報告する.
キーワード
腐蝕性食道炎, 酸, アルカリ, 縦隔炎, 化学性腹膜炎
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