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日外会誌. 104(8): 558-561, 2003
特集
外科領域におけるステント療法
6.大血管
I.内容要旨大動脈瘤に対する低侵襲治療として期待されているステントグラフト内挿術は,金属ステントを従来の人工血管素材で被覆した新しい発想による血管内挿型人工血管を用いた経カテーテル的血管内手術である.1991年に本法による腹部大動脈瘤の治療例が報告されて以来,世界的規模でステントグラフトの研究が展開され,現在ではY型グラフトを中心とした数種類のシステム機器が企業ベースで製造され,欧米やオーストラリアを中心に海外各国で臨床使用されている.しかし本邦では,多施設臨床治験が終了し,厚生労働省に申請手続きされて既に1年が経過した機器もあるが,未だ認可されるには至っていない.他方,胸部大動脈領域については,現在でも独自に手作りされた機器,もしくは腹部大動脈に使用するシステムを応用しているに過ぎず,未だ試行段階にある.現時点において,なお検証すべき問題もあり,システムとして完成したものとは言い難いが,ステントグラフト内挿術が臨床導入されてからほぼ10年が経過しており,この間に蓄積された多くの治療経験からその成績が明らかとなりつつある.本法は,適切な適応の選択と手技の習熟により,大動脈瘤に対する低侵襲治療として,従来からの外科手術を凌ぐ極めて有効な治療手段として定着するものと考えられる.
キーワード
ステント, ステントグラフト, ステントグラフト内挿術, 大動脈瘤, 大動脈解離
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