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日外会誌. 104(3): 305-310, 2003


特集

外科教育と専門医制度

9.呼吸器外科医の立場から

千葉大学大学院 胸部外科学

藤澤 武彦 , 飯笹 俊彦

I.内容要旨
医学生に対する呼吸器外科の卒前教育,ならびに外科専門医制度に基づき呼吸器外科専門医の養成のあり方ならびに課題について考えた.
呼吸器外科の卒前教育では,呼吸器疾患の疫学的増加,呼吸器,縦隔疾患の基本病態を理解し,腫瘍性病変の診断法,胸郭内の解剖,外科療法と手術適応,胸腔の特殊性と周術期管理を習得することが重要である.
厚生労働省によれば,平成16年度より卒後初期研修として2年間,内科,外科,救急(麻酔を含む),小児科,産婦人科,精神科および地域保健医療の研修が義務化される.卒後初期研修は,医療人の基本的姿勢態度として,患者を全人的に理解し,患者,家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できるということを研修目標とし専門教育の際にも有意義であると思われる.
一方日本外科学会では,「臨床に携わる外科医」の育成を目的として,平成14年外科専門医制度を発足させた.本修練は外科分科領域専門医の基礎部分を包括し,かつ救命・救急医学を必須とし,施設格差をできるだけ是正した修練計画である.手術は,消化管,腹部内臓,乳腺,呼吸器,心臓・大血管,末梢血管,頭頸部・体表・内分泌,小児外科,および外傷と多岐にわたり,助手も含め350例以上,うち120例以上は術者である必要がある.このうち呼吸器外科領域では最低15例が要求されている.外科専門医制度によれば,外科分科領域専門医として呼吸器外科専門医は承認され,認定は呼吸器外科専門医認定機構が行う.志望者は外科専門医取得時より3年以上の研修により所定の実績と試験を経て呼吸器外科専門医の認定を受ける.
呼吸器疾患を有する患者に対し,柔軟に対応できる人間性を有し,精緻な科学的分析により,呼吸器疾患の克服にむけ行動してゆくことができるような呼吸器外科専門医を育ててゆくことが重要である.

キーワード
呼吸器外科, 呼吸器外科専門医認定機構, 外科専門医制度, スーパーローテイト, 外科教育


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