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日外会誌. 104(1): 2-5, 2003


特集

外科領域におけるセーフティマネージメント

2.医療安全をめぐる国際動向

国立保健医療科学院 政策科学部

長谷川 敏彦 , 藤澤 由和

I.内容要旨
近年まで人命を救うことを目的とする医療において安全性を問うといった姿勢はそれほど一般的ではなかったといえる.だが現在医療の安全性を問う姿勢は世界的に見て医療政策における最も重要な課題の一つとなりつつある.また諸外国においてはカルテを用いた医療事故調査により医療サービスには一定の割合で医療事故が発生しているという科学的根拠が示されてきている.各国とも様々な形で医療における安全性の確保に乗り出しているが,アメリカ,イギリス,オーストラリアといった国々における対応が特に顕著であるといえよう.こうした対応の中で特に重要なのは,医療制度全体をより安全なシステムへと再構築するのだという理念であり,そのためには「失敗から学ぶ」といった考え方に基づいて,医療事故情報を収集,分析し,その結果を共有するための報告システムの構築が早急に求められている.現在この報告システム構築に向けた様々な試みが各国においてなされているといえる.

キーワード
医療の安全性, 疫学研究, 医療安全政策, 過誤から学ぶ, 報告システム

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