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日外会誌. 103(9): 594-596, 2002


特集

難治性心不全に対する外科的アプロ一チ-最近の進歩-

6.DYNAMIC CARDIOMYOPLASTY (DCMP)

東京慈恵会医科大学 心臓外科

森田 紀代造

I.内容要旨
Dynamic cardiomyoplasty(DCMP)は自己の有茎広背筋を心臓に被覆し,植え込み型骨格筋刺激システムにより心拍同期で電気的に刺激することにより末期不全心の心機能を改善させる手術である.本法は1985年フランスのDR.CARPENTIERにより初めて臨床応用され現在まで世界で約1000例に施行された.MEDTRONICS社製の刺激装置に関するFDA臨床治験第1,2相が終了し,薬物投与群と比較する第3相治験:Cardiomyoplasty skeletal muscle assist randamized trial(C-AMART)600例が予定されたが,目標症例数に達していない.これまでの多施設試験(worldwide database Medtronic Dynamic Cardiomyoplasty Clinical Database 1996)の結果,本法による自覚症状の改善すなわちNYHA classや運動能力,最大酸素消費, QOLの改善,薬物治療群を上回る中期遠隔期生存率,さらに左室駆出率と左室拡張末期容積など血行動態的改善などが示されている.しかしその反面,骨格筋収縮に伴う直接的左室収縮補助効果は当初の期待ほどは顕著なものでなく,また5年以上の遠隔期における骨格筋graft変性とこれによる臨床的効果の減弱が明らかにされた.しかし本法は心臓移植のような提供者不足,倫理的問題,免疫抑制などがなく,短期間にせよ明らかな自覚症状の改善が得られることは事実である.さらに最近の研究では作用機序の解明やDemand型刺激プログラムの導入など本法による長期有効性改善のための新たな知見も報告されており,今後も心不全治療における臨床的意義が期待される.

キーワード
動的心室形成術, 拡張型心筋症, 虚血性心筋症, 骨格筋, 電気的刺激

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