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日外会誌. 103(6): 492-494, 2002


特集

癌の分子診断学-ここまで進んだ診断・治療への応用-

9.甲状腺癌

1) 帝京大学 医学部外科
2) 慶應義塾大学 医学部病理学

高見 博1) , 池田 佳史1) , 田島 厳吾1) , 菅 重尚1) , 亀山 香織2)

I.内容要旨
甲状腺腫瘍の遺伝子は癌遺伝子と癌抑制遺伝子に分かれる.RET癌遺伝子は甲状腺髄様癌と乳頭癌の増殖に関与している.遺伝性髄様癌ではRETの生殖細胞性変異が検査され,早期発見,予防的甲状腺切除術が行われている.甲状腺乳頭癌におけるRETの証明は予後因子に関係するかもしれないが,現在のところ明確ではない.TSH-R, Gsαは中毒性甲状腺腫(AFTN)の突然変異を介して腫瘍化に結びついている.Rasはいくつかの腫瘍化に関係している.P53は未分化癌の分化癌からの組織移行に関連し,PTENは濾胞腺腫の増殖に関連していると推測される.
現在,明確に遺伝子検査が臨床に役立っている分野は遺伝性甲状腺癌の診断と治療のみである.

キーワード
甲状腺癌, 甲状腺髄様癌, 家族性甲状腺癌, 遺伝子検査, RET癌遺伝子

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