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日外会誌. 103(2): 237-243, 2002
特集
肺癌非手術療法の新しい試み
6.抗血管新生薬
I.内容要旨血管新生は癌に対する新しい分子標的治療のターゲットとして注目され,多くの開発新薬が,治験段階に入っている.
成熟個体における血管新生は,細小血管において既存の血管から新しい血管ネットワークが形成される発芽型血管新生と考えられていたが,近年胎児期における脈管形成(vasculogenesis)のメカニズムが明らかにされるにつれ,成熟個体における腫瘍にも脈管形成型の血管新生が同時に生じていることが示された.すなわち骨髄には内皮細胞に分化可能な前駆細胞が存在し,刺激により血中に遊離して血管新生部位に到達し,内皮細胞へ分化し血管新生に加担するというものである
1).
また,Folkmanらにより,細胞が悪性転換して腫瘍が形成されたとしても,腫瘍血管が新生されなければ,腫瘍は一定以上大きくなることはないと言われてきた
2).これに対し,Holashらは,癌は微小な段階から既存の血管を利用拡張させ,豊富な血流を獲得し増大していき,血管周囲部以外がアポトーシスに陥った段階で腫瘍辺縁部に血管新生が生じることを生体観察した
3).
血管新生の研究は目まぐるしく発展しており,癌の微小転移を制御するため,抗血管新生薬の開発が精力的に行われている.当初副作用は少ないと考えられたが,臨床試験が進むにつれ問題となる副作用が出現してきた.また,従来の抗癌剤との併用プロトコールの組み方に苦慮したり,有効性をみるエンドポイントを何にすべきか,等問題が多く出現し,開発遅延・中止に追い込まれた薬剤も少なくなく,臨床応用にはまだ時間がかかりそうである.その中で抗血管新生作用を併せ持つ既存薬剤の応用を目指す試みも行われている
4).
キーワード
血管新生, 脈管形成, 癌, Anti-Angiogenic Chemotherapy, 抗血管新生薬
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