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日外会誌. 102(11): 826-830, 2001


特集

肝臓外科における血行再建

9.胆道癌における肝十二指腸間膜切除の適応と手技

1) 慶應義塾大学 医学部外科
2) 日本鋼管病院 外科

島津 元秀1) , 若林 剛1) , 田辺 稔1) , 河地 茂行1) , 高橋 伸2) , 北島 政樹1)

I.内容要旨
進行胆道癌に対して肝十二指腸間膜を一括切除する術式(いわゆる肝十二指腸間膜切除),およびそれに肝切除を付加するhepato-ligamentectomy(HL),膵頭十二指腸切除を付加するligamento-pancreatoduodenectomy(LPD),さらに肝・膵を同時切除するhepato-ligamento-pancreatoduodenectomy (HLPD)は,理論的に根治性を追求した合理的な手術である.しかし現実には,大きな侵襲を伴い合併症や手術死亡が多いこと,本術式を行っても非治癒切除に終わる症例が少なからずあること,また期待したほどの治療成績が得られていないこと,などの問題点がある.従って,その適応については慎重に決定すべきであり,現段階では本術式の安全性を高めることが第1である.われわれは現在までにHLを4例(肝門部胆管癌2例,肝内胆管癌2例)に,HLPDを4例(胆嚢癌3例,胆管癌1例)に施行した.手術直接死亡はなく,在院死亡は肝動脈が閉塞した1例(12.5%)にみられたが,技術的にはほぼ安全に施行できることが判明した.しかし,われわれが対象としている高度進行例における遠隔成績は不良であり,適応の再検討が必要である.本術式によって進行胆道癌の切除率を上げることはできるが,それが遠隔成績の向上につながるか否かは,安全性を確立し適応を再検討した上で,症例の蓄積を待って評価されるべきである.

キーワード
肝十二指腸間膜切除, 進行胆道癌, 肝膵同時切除, 肝動脈再建, 門脈再建

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