[書誌情報] [全文PDF] (3567KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 102(10): 764-769, 2001


特集

胃癌治療の最近の進歩と今後の問題点

7.進行胃癌に対する拡大手術
-拡大手術の治療成績及び適応と今後の問題点-

鹿児島大学 医学部第1外科

愛甲 孝 , 夏越 祥次 , 帆北 修一

I.内容要旨
局所進行胃癌に対する治療の在り方に関しては,根治性およびQOLの両面からその臨床的意義について異論の多いところである.また,Survival Benefitについても,治療成績において向上がみられたとする報告が多いが,stage migrationの問題もありconsensusは得られていない.今後は,科学的に如何に拡大手術の妥当性を実証するか,如何に適応症例を絞り込むか,evidenceでもって明らかにする時期である.とくに大動脈周囲リンパ節郭清に関しては,著者らの経験では外科的に対処し得る最終関門であり,一部の進行癌では治癒切除のためには必須であると考える.現在行われているJCOGのrandomized trialの中間的な報告によると,mortalityは定型的D2手術と差がなく,majorな合併症はけっして増大していないとのことであり,最終結果が待たれるところである.いずれにしても,拡大手術の功罪に関しては,D2郭清が充分に行えること,予防的郭清効果として進行胃癌の治療成績の底上げに幾分か寄与していること,治療的郭清効果として長期生存例が増加し,症例によっては延命効果がみられること,などは事実であろう.また一方では,術後合併症や治療費用の増加,QOLの低下などが問題であることは事実である.今後とも,拡大手術を行った症例を正確に解析し,客観的なデータをもとに適応を検討し,個々の症例にみあった適正な手術を行うことは外科医の責務である.

キーワード
進行胃癌, 拡大手術

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。