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日外会誌. 102(8): 584-589, 2001
特集
複雑先天性心疾患外科治療の最近の進歩
5.大血管転位
I.内容要旨完全大血管転位症は心房心室関係が正常で,大動脈が解剖学的右室から肺動脈が解剖学的左室から起始する先天性奇形であり,新生児期に高度のチアノーゼを生じる代表的心疾患である.1998年度の我が国におけるAnnual reportでは275例の手術が行われ,全体での死亡率は14.2%であった.
本疾患は心室中隔欠損,肺動脈狭窄の合併の有無により3つの群に分類される.したがって治療法も3群間で異なる.Simple TGA(Ⅰ群),TGA+VSD(Ⅱ群)に対しては最近ではarterial switch手術が, TGA+VSD+PS(Ⅲ群)に対してはRastelli手術または心外導管を用いない肺動脈再建法が用いられる.手術成績は新生児期のarterial switch手術でいえば102例中病院死亡21例(病院死20.6%)であり,決して満足すべきものではない.成績は施設問で大きく異なり,多数例を施行している施設では死亡率2~5%という所もある.(我々の施設では2.1%)成績は冠動脈移植の成否にかかっており,これが不適切な場合たとえ生存しても遠隔期死亡を来すことが多い.さらに遠隔期の問題として肺動脈狭窄の予防,新しい大動脈弁からの逆流が問題となる.これらに対しては現在まで肺動脈再建法,大動脈再建法に種々の工夫がなされており,成績の向上がみられている.
キーワード
大血管転位, arterial switch, Jatene
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