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日外会誌. 102(6): 459-464, 2001
特集
リンパ節の癌転移病態と至適郭清
3.甲状腺癌における至適リンパ節郭清
I.内容要旨分化癌が一側葉に限局していて根治性が得られる場合は,一般的にはI~VaまでのD2aの郭清が行われる.最も一般的な郭清術式はModified neck dissection(保存的頸部郭清術)である.
リンパ節郭清の適応は,遠隔転移がなく,局所の切除が可能で根治術が出来た場合である.しかし,非根治例でも,気管前・気管傍(II・III)のリンパ節は出来るだけ郭清しておく.なぜならば気管周囲に再発した場合は,生命に差し支えなくても,気管切開になったり,気管内出血を起こしたり,QOLが著しく劣るからである.
乳頭癌は高年齢ほど予後不良である.しかし,これらの予後予測因子を郭清に反映させることは難しい.高齢者の場合むしろ全身状態を考慮に入れると,保存的な術式になりがちである.低分化癌は予後が悪いが,術中迅速病理診断を駆使しても必ずしも低分化癌と診断がつくわけではなく,術式特にリンパ節郭清に反映されない.
不必要な郭清を避ける方法の一つとしてセンチネルリンパ節生検が検討されている.また,分化癌のうち微小癌で葉切除のみ,気管傍のリンパ節郭清で充分な症例には今後内視鏡下で行われることが増えてゆくであろう.
郭清による合併症として反回神経麻痺,乳び漏,内頸静脈損傷,鎖骨上神経麻痺,副神経麻痺,Horner症候群がある.甲状腺分化癌は比較的予後のよい癌ゆえに,出来るだけQOLを考慮した手術をすすめる.
キーワード
Thyroid cancer, Lymph node, Dissection, Metastasis
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