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日外会誌. 102(6): 445-448, 2001


特集

リンパ節の癌転移病態と至適郭清

2.リンパ節の癌転移病態
3)センチネルリンパ節と転移限局例の考察

1) 防衛医科大学校 第1外科
2) 防衛医科大学校 医学研究センター外傷部門

佐藤 一彦1) , 平出 星夫2) , 望月 英隆1)

I.内容要旨
乳癌患者に対しSentinel Lymph Node(SLN)を同定し,その転移状況により腋窩郭清を決定するSentinel Node Navigation Surgery(SNNS)が行われている.97年5月~99年4月の教室における乳癌患者93症例にRI法によるSLNの同定を行ったが,“skip metastasis”は1例のみであった.
一方,SLN転移検索に際し,検出困難な微小転移が問題となる.教室の検討では,代表1割面にて転移陰性とされたSLNに,更に1割面を作成すると6.5%に転移が検出された.
99年5月からSNNSの臨床応用を開始したが,術中迅速診断でSLN転移にて腋窩郭清施行したのは24%,そのうちnon-SLN転移陰性は3/4にのぼった.またSLNの術中迅速診断の偽陰性例は8.5%であった.すなわち,SLN転移陽性でも結果的に腋窩制御が不要な症例が多く,迅速診断偽陰性例には腋窩照射等の要否決定が必要となるため,SLN転移限局例を予測し得る方策の確立が待たれる.
そこでSLN転移陽性例でのSLN内腫瘍面積に着目し,自験例でSLNに占める面積比を検討すると,20%未満ではnon-SLNに転移を認めなかった.従って,SLN内腫瘍量によりSLN転移限局例の予測は可能と考えられる.自験でのSLNの迅速診断偽陰性例では腫瘍面積比は5%以下と極めて小さくSLN転移限局例と考えられる.
SLN転移陽性症例においては, non-SLNの転移状況を予測し,更に厳密な選択的腋窩リンパ節郭清の適応を考える必要がある.

キーワード
乳癌, センチネルリンパ節, 腋窩郭清, 限局転移, 微小転移

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