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日外会誌. 102(4): 337-341, 2001
特集
弁膜症手術の最近の動向
8.三尖弁膜症の外科治療
I.内容要旨三尖弁膜症のなかで最も多いのは僧帽弁疾患に伴う機能的三尖弁閉鎖不全症であるが,これは弁輪形成術の良い適応である.リングを用いた弁輪形成術は形成の効果を確実にし逆流の再発を防ぐ.三尖弁形成術は人工リングの普及に伴いこれからますます適応が拡大されてゆくものと思われる.三尖弁膜症はその多くが形成術の対象となりうるが,弁尖の器質的変化の強い症例と感染性心内膜炎による弁尖破壊の強い症例が人工弁置換術の適応となる.
人工弁の種類は手術死亡率に影響しないようであるが,問題は術後遠隔期における人工弁機能不全の発生とQOLである.機械弁は従来血栓弁の発生頻度が高いことが問題であったが,第二世代の二葉弁(SJM)はそれが低いことが報告されている.左心系に同時に機械弁を移植する患者など三尖弁位に機械弁を選択することがQOLの低下につながらないと考えられる患者は機械弁の適応としうる.生体弁に関しては良好な遠隔成績が報告されているが,さらに耐久性に優れた弁の開発が期待される.機械弁と生体弁のどちらを用いるべきかは現在なお議論のあるところであるが,将来的には生体弁の適応が拡大されることが予想される.
キーワード
Ringannuloplasty, 機能的三尖弁閉鎖不全症, 三尖弁置換術, 三尖弁形成術
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