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日外会誌. 102(4): 330-336, 2001
特集
弁膜症手術の最近の動向
7.Ross 手術の適応と成績
I.内容要旨自己肺動脈弁による大動脈弁置換(Ross手術)は狭小大動脈弁輪を伴う先天性大動脈弁狭窄症の小児に対して極めて有用な術式であり,本邦においても他に有効な術式のない小児症例から導入されたが,欧米ではRoss手術の成績向上にともないその適応が拡大され広く施行されるに至った.本邦においてはRoss手術の右室側再建に用いられるホモグラフト使用に制限があるため,現時点での積極的適応は 1)先天性大動脈弁狭窄症(狭小弁輪) 2)若年女性の大動脈弁疾患 3)感染性心内膜炎活動期における大動脈弁置換, 4)人工弁機能障害である.妊娠希望の若年女性や活動性の高い成人男性などにおける積極的な抗凝固療法の回避も本法の相対的適応と考えられる.一方リウマチ性弁膜症・dysplastic dilated aortic root・Marfan症候群などは適応から除外すべきと考えられる.現在total aortic replacement法が多くの施設で標準的術式となっておりことに小児例やgraft host size mismach例で理想的な手技である.近年本法の手術成績は著しく向上し遠隔期graft durabilityもgraft failure非発生率7~9年80~90%と良好である.本法の利点として(1)小児例におけるグラフトの成長(2)抗凝固療法不要で,出血性合併症や血栓塞栓症など抗凝固療法関連合併症が回避.(3)若年女性では妊娠出産の可能性.(4)血栓弁,人工弁機能不全など人工弁関連合併症が回避.(5)感染性心内膜炎に対する抵抗性に優れる,などの利点を有し人工弁置換術に比してより根治性が高く長期遠隔成績に優れた方法である.
キーワード
自己肺動脈弁, Ross 手術, Ross-Konno 手術, 狭小大動脈弁輪, 先天性大動脈弁狭窄症
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