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日外会誌. 102(3): 277-281, 2001


特集

外科学-新しい潮流

II.Tissue engineering
1.成体肝臓に存在する増殖性肝細胞の性質とtissue engineeringへの応用

1) 科学技術振興事業団 広島県地域結集型共同研究事業 広島県組織再生プロジェクト
2) 広島大学 医学部第二外科
3) 広島大学大学院 理学研究科 生物科学専攻

立野 知世1) , 片山 繁1)2) , 吉里 勝利1)3)

I.内容要旨
成体の肝細胞は in vivoでは高い増殖能を持つが in vitro では繰り返し分裂増殖しないことが知られている.私達は,成体ラットの肝細胞がコロニーを形成しながらクローン性に増殖する培地(HCGM)を開発した.さらに,遠心分離法とFACSを用いて,成体の肝細胞からサイズの小さい肝細胞(SH-R3)を分離した.SH-R3はサイズの大きな肝細胞(SH-R2)に比べて,in vitro においてもin vivoにおいても3~4倍高い増殖能を示した.In vivoにおける増殖能は,レトロルシン投与2/3肝部分切除術を行ったDPPIV-ラットに,DPPIV+ラットから採取したSH-R3を移植することにより調べた.Colemanらにより報告されているSmall hepatocyte-like pogenitor cellとSH-R3との関連性についても調べている.さらに,私達は成人肝臓においてもSH-R3と関連した高い増殖能を持つ肝細胞の存在を示している.私達は,このような増殖性ヒト肝細胞の人工肝臓へ利用を考えている.

キーワード
再生医療, 幹細胞, 小型肝細胞, 肝細胞移植, ハイブリッド型人工肝

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