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日外会誌. 101(10): 729-732, 2000


特集

Day Surgery

8.小児鼠徑ヘルニアの Day Surgery

1) 東海大学 医学部外科
2) 東海大学 医学部麻酔科

上野 滋1) , 横山 清七1) , 平川 均1) , 幕内 博康1) , 田島 知郎1) , 滝口 守2)

I.内容要旨
小児鼠徑ヘルニアは手術侵襲が比較的小さく,患児と家族の分離を最小限にできることからもDay Surgery(以下DS)にふさわしい疾患といえる.1986年以降小児鼠徑ヘルニア1,273例の治療をDSシステムで行ってきた.小児外科医,麻酔医,看護婦による医療チームの協力体制で,手術当日の朝禁飲食で来院,前投薬なしの全身麻酔下にPotts法を行い,全覚後飲水開始,昼食後帰宅するというものである.手術時年齢は1歳が最も多く,平均手術時間は15分であった.死亡あるいは重症合併症はなく,退院延期例は0.6%,帰宅後1.6%が予定より早期に受診した.術後合併症は,入院手術症例に比べ差がなかった.再発例0.3%,患者家族に行ったアンケート調査(回答率65%)では96%の満足度を得た.
小児鼠徑ヘルニア治療を安全にDSで行うには,適応年齢,術前検査,合併疾患・病態を有する症例の扱い,治療スタッフ,術後経口摂取の再開時期,術後疼痛の管理,退院後のFollow-upといった問題がある.また,DSによる治療がどの病院でも経済的に有利というわけではない.
したがって,従来入院手術により行われてきた小児鼠徑ヘルニア治療がDSにより安全に行われるには,問題点に留意した上で,経験豊富な専門医を中心とする緊密なチーム医療によるシステムを構築することが重要である.

キーワード
小児, 鼠徑ヘルニア, Day Surgery

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