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日外会誌. 101(10): 698-702, 2000


特集

Day Surgery

2.医療経済学から見た Day Surgery

京都大学大学院 医学研究科社会健康医学系専攻医療経済学分野

今中 雄一

I.内容要旨
日帰り手術の躍進は目覚ましいが,単に効率性という点のみならず,医療の質という観点から見ても,患者の早期回復やQOL向上に向けての技術力の推進,標準化,患者家族への説明・フォローアップおよび医療関連機関の連帯体制の拡充,リスク管理システムや質の評価のためのデータベース構築向上の可能性といった,本来的でしかもこれからの医療のしくみの変革・発展にとって重要な推進力を有している.
しかしながら,コストをカバーする制度的裏付けがないとシステムを普及し維持することは困難である.日帰り手術は,質保証・評価の明示的なしくみのモデルを実現するポテンシャルを有しているのみならず,原価計算と根拠に基づく診療報酬制度といった点でも,医療界の中で先鞭をつけうる領域であると考えられる.海外経済的計算結果をそのまま適用せず,わが国独自の医療環境において日帰り手術の経済性を根本から評価した上で医療制度・政策の中に位置付ける必要がある.その際,空間的あるいは時問的にコストシフトを生じるので,種々の関連要素全体を視野に入れて総合的に国民の便益を生む仕組みを志向する必要がある.厳格な評価に基づいた上で国家レベルでのヴィジョンのもと,診療報酬を始めとし積極的施策でもって質と効率の向上に報いる制度で裏付けていくことが社会的に重要である.

キーワード
Day Surgery, 経済性と質, 原価, 医師技術料, 診療報酬

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