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日外会誌. 101(9): 602-606, 2000


特集

新しい免疫の啓蟄-外科学とのかかわり-

5.Immunoguided Surgery

久留米大学 医学部集学治療センター

山名 秀明

I.内容要旨
近年の免疫学の進歩によって,癌特異抗原に対するモノクローナル抗体が多数作製された.これら抗体を放射性同位元素で標識し,癌病巣の存在部位を検出する試みが施行された.しかし,病巣の鮮明な描出は困難なことが多く,またhuman anti-mouse antibody(HAMA)の発現をはじめとする多くの問題が提示された.そこで,腫瘍描出能を向上する目的で,欧州を中心にアビジン―ビオチン・システムの三段階法を用いた臨床試験が行われた.この三段階法は,まずビオチン標識抗体を投与し,次いで非標識アビジンを投与して血中内に残存する抗体を除去し,さらに再度多量の非標識アビジンを投与して腫瘍と反応した抗体にアビジンを多数結合させ,最後に放射性トレーサー標識ビオチンを投与して腫瘍イメージングを行う方法である.本投与法によって腫瘍イメージングの陽性率は85%と良好な成績を挙げている.一方,最近のFDG-PETの普及により,比較的簡単に腫瘍局在やsentinellymph nodeの検討も行われるようになってきた. Radio-immunoscintigraphyは, FDG-PETに比べて手法が複雑であり.またHAMAなどの有害反応がみられることが問題ではあるが診断と治療を同時に行える利点があり,今日の分子生物学的手法を駆使してこれらの問題を解決すれば,理想的な診断/治療法として確立されるようになると思われる.

キーワード
モノクローナル抗体, immunoscintigraphy, immunoguided surgery, sentinel lymph node, FDG-PET

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