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日外会誌. 101(8): 561-567, 2000


特集

内視鏡外科の基礎と臨床

9.婦人科疾患

日本医科大学 産婦人科

明楽 重夫 , 荒木 勤

I.内容要旨
婦人科領域の内視鏡には腹腔鏡,子宮鏡,卵管鏡の3種類があり,それぞれ腹腔,子宮腔,卵管腔を観察する.その歴史は古く,当初は観察が主体であったが,今では多くの手術が保険収載され,内視鏡手術は急速に普及してきた.
腹腔鏡手術の対象は子宮筋腫,卵巣腫瘍,子宮外妊娠,子宮内膜症,不妊症などが主であるが,その適応は年々拡大され,今では良性疾患のほとんどと一部の悪性腫瘍も腹腔鏡の対象となってきている.特に卵巣腫瘍,子宮外妊娠は急性腹症の原因疾患として大切であり,外科医が日常臨床で遭遇する可能性も高いと考えられるので,本稿でも詳述した.
子宮鏡は子宮腔内病変を切除するもので,硬性鏡を用いたレゼクトスコープと,軟性鏡(ファイバースコープ)とレーザーを組み合わせた手術がある.主な適応として,粘膜下子宮筋腫,子宮奇形,子宮腔癒着症などが挙げられる.
卵管鏡は子宮頸管,子宮腔を経由して卵管内腔の観察や閉塞の解除を施行するもので,卵管性不妊の治療に高い有効性がみられる.
内視鏡手術の持つ低侵襲性,高い経済性,美容性は女性にとり大いなる福音である.そのため内視鏡手術のニーズは高く,今後のさらなる発展が期待される.

キーワード
腹腔鏡, 子宮鏡, 卵管鏡, 子宮外妊娠, 卵巣嚢腫

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