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日外会誌. 101(8): 539-545, 2000


特集

内視鏡外科の基礎と臨床

5.早期胃癌に対する腹腔鏡下手術

慶應義塾大学 医学部外科

大上 正裕 , 大谷 吉秀 , 古川 俊治 , 久保田 哲朗 , 熊井 浩一郎 , 北島 政樹

I.内容要旨
近年,発見頻度が高まっている早期胃癌に対して,教室では6年前より1)術前深達度診断でm,2)Ila≦25mm,3)Ilc≦15mmかつu1(一)を満たしたものに対して,lesion lifting法による腹腔鏡下胃局所切除術と腹腔鏡下胃内粘膜切除術の2種類の腹腔鏡下手術を施行し良好な成績を得ている.本法は,低侵襲性と根治性,臓器温存性を併せ持つ治療法であり,特に十分なsurgical marginを確保した確実な切除ができ,組織学的に局所の完全切除が確実に確認されることが,内視鏡的粘膜切除術(EMR)との大きな相違点である.最近EMRによる分割切除を施行する施設が増加しているが,分割切除後は高い遺残・再発率が報告されており,さらに不完全切除で終わったEMR後のフォロー・アップ中に進行癌の状態で発見された症例の報告も散見されている.EMRの適応拡大には慎重であるべきであり,EMRでの確実な一括切除が難しい症例では積極的に腹腔鏡下手術を選択すべきであると考える.

キーワード
早期胃癌, 腹腔鏡下手術, 腹腔鏡下胃局所切除術, lesion lifting 法, 腹腔鏡下胃内粘膜切除術

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