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日外会誌. 101(6): 439-443, 2000
特集
下部直腸癌における機能温存手術の適応と限界
2.自律神経温存手術
I.内容要旨直腸癌治療の第一選択肢は手術療法であり,1970年代から拡大リンパ節郭清の理論が普及し,遠隔成績は飛躍的に向上したが,その陰で各種の術後機能障害が発生し,患者の術後機能的QOLは決して満足のいくものではなかった.近年,癌の告知が一般化され,癌の根治性を損なうことなく機能温存を維持させる自律神経温存手術が提唱され検討されるようになった.自律神経温存手術を行うためには,骨盤内の解剖を熟知し,自律神経を形態的にはもちろん機能的にも温存させる努力が必要である.特に,骨盤神経叢から発する臓側末梢枝と内腸骨血管系との位置関係を確実に把握し,自律神経を愛護的に扱わなければならない.この点で,自律神経温存手術は拡大郭清の技術と理論が術者には要求され,難易度の高い手技であり,縮小手術ではないと考えている.また,温存された自律神経周囲に微小転移巣が残存する可能性も否定し得ず,その適応については未だ明確な結論は得られず,今後更なる検討が必要である.
キーワード
直腸癌, 自律神経温存手術, 骨盤神経叢, リンパ節郭清, 術後機能
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