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日外会誌. 101(5): 423-428, 2000
特集
肝門部胆管癌-診断と治療の進歩-
9.肝門部胆管癌に対する非手術的治療
-放射線治療とexpandable metallic stentの併用療法-
I.内容要旨進行肝門部胆管癌107例に対し,放射線外照射と腔内照射を併用した高線量放射線治療とEMS留置を行い,その成績を検討した.放射線治療は101例に施行し(RT群),6例では放射線治療などの抗腫瘍療法を施行せず,EMSによる内瘻術のみを施行した(non-RT群).外照射は直交2門で照射し,引き続いて腔内照射を施行した.放射線治療後EMSの留置を行った.
放射線治療の内訳は外照射単独(36~67.2Gy)15例,外照射と腔内照射併用86例であった(総線量59~98Gy).EMSの留置は全例に成功し,104例(97.2%)で外瘻チューブの抜去が可能となった.外瘻抜去後の累積胆管開存率は,RT群で1年56.3%,2年45.3%,3年35.2%,5年23.4%であり,non-RT群で6カ月50.0%,1年0%であった.再閉塞は46例に認められ,その原因はdebris 21例(31.5 ± 26.1週),腫瘍増大15例(37.3 ± 34.9週),結石形成3例(27.1 ± 5.8週),胆管門脈痩2例(52.6 ± 8.2週),不明5例(41.3 ± 5.7週)であった.再閉塞例に対するドレナージは38例(82.6%)に施行し,22例(57.8%)で再び外瘻チューブの抜去が可能となった.累積生存率はRT群で1年66.4%,2年23.4%,3年15.6%,5年7.8%であり,non-RT群で1年66.4%,2年0%であり,RT群で従来の非切除例の生存率と比較し良好な成績が得られた.
高線量放射線治療とEMSによる併用療法は,照射方法,照射線量をはじめEMSの再閉塞や胆管炎の問題など今後解決しなければならない問題点も多いが,進行肝門部胆管癌の治療の選択肢の一つになると考えられた.
キーワード
肝門部胆管癌, 放射線治療, 胆管内腔内照射, 高線量率192-Ir, expandable metallic stent
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