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日外会誌. 101(5): 408-412, 2000


特集

肝門部胆管癌-診断と治療の進歩-

6.肝門部胆管癌に対する拡大肝切除術

名古屋大学 医学部第1外科

梛野 正人 , 神谷 順一 , 上坂 克彦 , 佐野 力 , 湯浅 典博 , 小田 高司 , 金井 道夫 , 山本 英夫 , 早川 直和 , 二村 雄次

I.内容要旨
肝門部胆管癌にはいわゆる定型的手術と呼ぶべき術式は無く,腫瘍の進展度と進展範囲および肝機能を考慮して症例毎に最も適切な肝切除術式を決定する.従って,尾状葉切除を伴う様々な肝切除術式が存在するが,本稿では拡大肝切除術,すなわち肝切除率が通常50%以上となる右葉切除,右3区域切除,左3区域を取り上げ,各術式の適応および手技について解説した.肝右葉切除+尾状葉切除は肝門部から右肝管,さらに上流側の右前・後区域枝におよぶ癌に適応される.肝の切離はCantlie線に沿って行うが,肝門部付近では肝門板から離れて10mm前後のsurgical marginを確保する.したがって, S4aのごく一部が右葉と共に切除される.S4aの切離線はHinfやBinfの程度により症例毎に適宜調整すればよく,S4aを完全に切除する必要はない.左肝内胆管は門脈膀部の右側で切離する.肝右3区域切除+尾状葉切除は右側優位の癌の中で,癌の左側への進展も高度なため左内側区域枝の根部が明らかに浸潤を受けているような場合に適応となる.本術式では門脈膀部の頭側から分岐するいわゆるP4dorを全て切離し,左外側区域胆管を門脈膀部の左側で切離する.肝左3区域切除+尾状葉切除は左側優位の癌が右前区域胆管にも広範に進展し,同区域枝の切除・再建が不可能な場合に適応となる.肝切離は右門脈裂に沿って行なう.右後区域胆管は通常,後上枝と後下枝合流部の下流側で切離するが,癌の進展が高度な場合には合流部の上流側で切離することも可能である.

キーワード
肝門部胆管癌, 尾状葉切除, 肝右葉切除, 肝右3区域切除, 肝左3区域切除

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