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日外会誌. 101(4): 373-376, 2000


症例報告

術中急性右心不全から心停止を来した Aortocaval fistulaの1例

東京慈恵会医科大学附属柏病院 心臓外科

黄 義浩 , 堀越 茂樹 , 水野 朝敏 , 青木 功雄 , 田口 真吾

I.内容要旨
腹部大動脈瘤から下大静脈へのAortocaval fistulaは,比較的稀で手術成績も不良な疾患とされている.今回,同疾患の症例に対し,緊急手術を行い良好な結果を得た.症例は71歳,男性.突然の腹痛により他院を受診したところ,腹部大動脈瘤切迫破裂を疑われ,当院転送となった.造影CT検査及びカラードップラー超音波エコー検査で,腹部大動脈瘤の下大静脈穿破と診断し,緊急手術を施行した.麻酔導入の際,急激な中心静脈圧の上昇に伴う急性右心不全を来したが,迅速に開腹,大動脈遮断を行い,血行動態の安定を得た,手術は径15mmの動静脈瘻孔を動脈内腔より直接縫合閉鎖した後,Y型人工血管で動脈瘤を置換した.今回救命できた理由として,早期の確定診断による術中急性右心不全に対する迅速な対応と,他臓器障害出現前の手術によると考えられた.

キーワード
Aortocaval fistula, 破裂性腹部大動脈瘤, 動静脈瘤, 急性右心不全

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