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日外会誌. 101(4): 345-351, 2000


特集

食道アカラシアにおける治療最近の動向

6.食道アカラシアに対するバルーン拡張術

山口大学 医学部第2外科

丹黒 章 , 林 弘人 , 吉野 茂文 , 安部 俊弘 , 多田 耕輔 , 森田 克彦 , 上野 隆 , 岡 正朗

I.内容要旨
食道アカラシアに対する治療法として長い歴史を持つ食道拡張術は現在も第一の治療選択であり.コストが安く,無効例,再発例に対しても追加治療ができることや外科治療後の再発例に対しても選択できる治療法である.しかし,拡張器具,手技に関しては施設によりまちまちであり,正確な治療成績の評価は難しいが,概ね良好な成績を得ていると思われる.バルーン拡張術を施行するにあたっては食道透視,内視鏡,内圧検査等で診断を確実にするだけでなく,CT scan,エコー等で2次性アカラシア,特に悪性疾患の合併を除外しなければならない.拡張術の致命的な合併症は穿孔であるが,その他にも遷延する疼痛,粘膜断裂,粘膜下血腫,憩室形成,胃食道逆流症等も報告は少ないが頻度は比較的高い.バルーン拡張術を施行するにあたっては術前の十分な準備が必要である.low complianceで適切な径のpneumatic dilatorを選択し,透視観察下に確実に位置決めを行い,穿孔の発生に十分注意し,決して無理な拡張や性急な頻回の拡張を避けねばならない.もし穿孔に遭遇しても状況に見合った治療選択を時期を遅らせず行うことが肝要である.

キーワード
食道アカラシア, バルーン拡張術, pneumatic dilator, 二次性アカラシア, 食道穿孔

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