[書誌情報] [全文PDF] (1775KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 101(4): 342-344, 2000


特集

食道アカラシアにおける治療最近の動向

5.食道アカラシアの治療方針

大分医科大学 第2外科

橋本 剛 , 内田 雄三 , 野口 剛 , 唐原 和秀

I.内容要旨
食道アカラシアに対する治療法は,薬物療法,拡張療法,手術療法に分けられる.一般的には,まず内科的治療を試み,これに抵抗する症例が手術の適応となる場合が多い.薬物療法は嚥下障害にはそれほどの効果は証明されておらず,むしろ胸痛に対する治療法としての評価が高く,症状増悪時に補助的に使用するのが望ましい.従って内科的治療の主体はバルーン拡張術となるが,いたずらに回数を重ねることは得策ではない.内視鏡下根治術の登場により,内科的治療と外科的治療の侵襲の差は縮まった.今後は手術がfirst choiceとなる症例も増加してくるものと思われる.また,海外ではボツリヌス毒素の局所注入療法も試みられており,安全性が確認されれば,さらに治療法の選択枝の幅が広がるものと思われる.
しかしながら,失われた食道運動機能を回復させることは不可能であり,いずれの治療法も食物通過状態の改善を目的とした姑息的治療でしかない.個々の症例の病態に見合った治療法を選択する必要があり,安易にマニュアル的な治療を行うべきではない.

キーワード
食道アカラシア, 治療, 手術適応, ボツリヌス毒素

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。