日外会誌. 100(8): 482-485, 1999
特集
大動脈瘤に対するステント人工血管内挿術
4.ステント人工血管
I.内容要旨大動脈瘤に対する低侵襲治療として期待されているステント人工血管(ステントグラフト)内挿術は,金属ステントを従来の人工血管素材で被覆した新しい発想による血管内挿型人工血管を用いた経カテーテル的血管内手術である.
1991年,本法による腹部大動脈瘤の治療例が最初に報告されて以来,世界的規模でステントグラフトの研究が展開され,現在ではY型グラフトを中心として既に数種類のシステムが企業ベースで製造されるに至っている.しかし,その臨床使用は欧州やオーストラリアなどで許可されているが,米国および本邦では多施設臨床試験が進行中であり,いずれも認可されるには至っていない.また,胸部大動脈瘤については現在でも独自に手作りされたステントグラフトが使用されており,未だ試行段階にあると言える.ステントグラフト内挿術は,大動脈瘤に対する治療手段として有望であるが,現在のところグラフトの耐久性,ステントの形状や拡張性,またシースカテーテルの操作性などについてなお検証すべき問題も多く,システムとして完成したものとは言い難い.また,瘤の空置によって血栓閉塞治癒を期待する内挿術の遠隔成績は不明で,さらに多くの検討を必要としている.
キーワード
ステント, ステントグラフト, ステント人工血管, ステント人工血管内挿術, 大動脈瘤
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。