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日外会誌. 100(7): 435-442, 1999


特集

救急医療における最近の進歩

6.救急領域におけるinterventional radiologyの進歩

1) 北里大学 医学部放射線科学
2) 北里大学 医学部救命救急医学

西巻 博1)2) , 瀧川 政和1) , 相馬 一亥2) , 大和田 隆2) , 松林 隆1)

I.内容要旨
IVRは,本邦でも10年程前より関心が高まり.急速に発展し普及しつつある.救急領域においても例外ではなく,IVRはすでに不可欠な分野となっている.本稿では救急領域における胸・腹部・骨盤領域のIVR,特に血管系IVRの最近のトピックスを中心に述べる.
血管外漏出や動静脈シャントや動門脈シャントの検出にきわめて鋭敏であるCO2-DSAは救急領域においても有用である.
外傷においては「damage control」の概念を拡大して,手術治療とTAEの両者を併用して治療を進めていく傾向にある.TAEは腹部実質臓器損傷や骨盤骨折に伴う後腹膜出血に対して有用である.一方,真性動脈瘤の治療から始まったステントグラフトによる治療は大動脈・動脈損傷の治療や大動脈解離のentry閉鎖に対しても応用され始めている.さらにステント留置は急性大動脈解離による臓器虚血に対する治療法のひとつになると考えられる.また,食道・胃静脈瘤破裂に対しては,従来のPTOに加えてTIPSやB-RTOなど新しい治療法も登場している.重症急性膵炎に対する膵酵素阻害剤持続動注療法は壊死組織への感染合併率および死亡率を有意に低下させた.
この分野の進歩はめざましいが,本来IVRは低侵襲的であるのが特徴であり,新しいIVRについても熟知しておくことが望まれる.

キーワード
IVR外傷, 救急疾患, ステントグラフト, CO2-DSA

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