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日外会誌. 100(2): 211-215, 1999
特集
消化器癌術後再発例への対策と成績
6.癌性腹膜炎・癌性イレウスの治療
I.内容要旨消化器癌の腹膜再発は,今なお最も治療の困難な病態の一つである.我々の施設で胃癌手術後に再発入院した,103症例について検討したところ,その50%は腹膜再発であった.腹膜再発のうち51%は消化管の通過障害ために,また27%は腹水の貯留のために入院していた.イレウスなどの消化管の通過障害に対しては,人工肛門造設,消化管吻合などの外科的処置が行われたり,動注化学療法などが試みられた.一時的には奏効例も認められたが,いずれの治療法でも十分な延命効果は得られなかった.しかし,その評価は必ずしも現在行われている治療法を全て否定するものではない.たとえば,イレウスに対して手術的治療が行われ,短時間でも経口摂取可能になれば,延命効果は無かったとしてもその意義は大きいと考えられる.つまり,再発治療は延命効果ばかりでなく,治療後の生活の質(QOL)も併せて総合的に評価することが必要である.
一方,腹膜播種性転移の着床から増殖までの発生機構を理解することと,腹腔内という環境の特性を理解することで,新しい試みが生まれている.たとえば,活性炭に抗癌剤を吸着した剤型や,生体内で分解吸収されるマイクロスフェアー封入抗癌剤などが開発され,実際に臨床応用されつつある.また,細胞レベルの標的治療として期待されている,抗体を抗癌剤のキャリアーとしたミサイル療法も,癌性腹膜炎の治療に応用されつつある.今後は,これらのDrug Delivery System(DDS)を利用した治療法が,広く普及してくる可能性がある。
キーワード
癌性腹膜線, 腹膜播種性転移, 再発, 消化器癌, Drug Delivery System
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