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日外会誌. 97(12): 1036-1041, 1996
特集
外科周術期重症感染症の現状と対策
2.基礎から見た重症感染
抗菌薬耐性偏性嫌気性菌を含む複数菌感染症
I.内容要旨約20年前,術後感染症における偏性嫌気性菌(嫌気性菌)の重要性が指摘された.偏性嫌気性菌を含む複数菌感染症に対して,偏性嫌気性菌を無視した化学療法は危険性が高く,偏性嫌気性菌の中でも
Bacteroidesと
Clostridiumをもマークしろといわれる.ところで,新しい方法論で,各種化膿性感染症の細菌叢を丁寧に検査すると,その実態が,いくつかの点で,これまでの常識をこえたものであることがわかった.想像以上の複数菌が関与していること,偏性嫌気性菌が占める割合は全分離株の半数を越えていること,それら分離菌が薬剤感受性が確実に耐性化していることである.
現場では,依然として,検査なしの化学療法,あるいは通性嫌気性菌(好気性菌)のみの片目での検査が行われている.Immuno-compromised hostが増加しつつある今日,そして,新しい抗菌薬の開発にブレーキがかかった今日,経験的治療の基礎となる感染症の細菌学を,原点に立ち返って,方法論から見直す必要があるのではないだろうか.
キーワード
偏性嫌気性菌, Bacteroides, Prevotella, 耐性菌, β-lactamase
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