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書誌情報]
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日外会誌. 97(3): 240-244, 1996
特集
虚血性心疾患における治療の選択
末期的虚血性心疾患治療における心臓移植の適応と成績
I.内容要旨冠動脈バイパス手術(CABG)による手術治療が困難と考えられる左室駆出率20%以下の虚血性心筋症の内科治療成績は不良であり,欧米では心臓移植適応と考えられている.一方,深刻なドナー心不足のため心臓移植治療が日常診療の一部となっいる欧米でも虚血性心筋症に対し移植以外の治療手段,すなわち補助人工心臓の半永久使用やCardiomyoplasty,或いは積極的なCABGなどが検討されている,心臓移植が社会的に認知されていないわが国では,なおさら移植以外の治療が試みられる必要があり,手術手技並びに装置の完成度から見てCABGが最も現実的な治療法であろう.今日,欧米でも虚血性心筋症に対して,一度はCABGを試みた方がよいか,最初から心臓移植を待機した方が良いのかは議論が別れているところある.虚血性心筋症に対して先ずCABGによる完全冠動脈血行再建を試み,手術が成功せず体外循環離脱困難となった時点で補助人工心臓をブリッジとして用い,心臓移植を待機するという治療方針を取っている施設も多数見られる.もちろん,完全冠血行再建による一時的に心機能の改善が得られたとしても最終的には心臓移植が必要となる可能性も大きい.しかし,ドナー心不足,移植心における慢性期拒絶反応や冠動脈病変の進行を考慮した場合,最終的には心臓移植が必要となるにしても積極的な冠血行再建は合理的な治療方針と考えれる.欧米と異なり,わが国では虚血性心筋症に対しては拡張型心筋症に対するほどは移植治療に考慮が払われていないのが現状ある.しかし,わが国でも60歳以下の虚血性心疾患による年間死亡例は5000名以上に昇り,心臓移植によってのみ救命可能な若年者の虚血性心筋症が存在することも確かである.わが国の心臓移植再開に向けて虚血性心筋症に対する心臓移植適応に関しても積極的に議論される必要がある.
キーワード
虚血性心筋症, 虚血性心疾患, 心臓移植, 冠動脈バイパス手術
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