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日外会誌. 96(8): 563-568, 1995
原著
肝内結石症に対する新しい治療法の試み,胆管内合成樹脂充填についての実験的研究
I.内容要旨肝内結石の治療においては,結石遺残の有無が予後を決定する重要な因子となっており,結石遺残例では胆管炎を繰り返して予後を不良としている.このような症例に対して,結石の遺残した胆管に樹脂を充填して胆管炎を予防することが,治療困難な肝内結石の治療法になりうるのではないかと考えられた.そこで,本治療法を行なうにあたっての基礎的実験として,雑種成犬の左胆管にtubingを行い,樹脂を充填させた後,経時的な肝の肉眼的・組織学的変化および血液学的変化を観察した.注入樹脂としてはネオプレーンを用いた.その結果,6カ月後の時点でも,ネオプレーンによる胆管内腔の閉塞は保たれていた.また,注入葉の体積・重量の減少を認め,組織学的には,胆管壁周囲の輪状線維性肥厚,グリソン鞘の線維性拡大,肝細胞の萎縮を認めた.全例においてabscess・bilomaは認めなかった.また,血液学的変化では,GOT・GPT・ALPの一過性の上昇がみられたが,胆管の単純結紮と差異はなく,肝毒性は認められなかった.従って,ネオプレーンによる胆管内樹脂充填法は,遺残結石の治療法として臨床的に応用しうる可能性があると考えられた.
キーワード
肝内結石症, 非手術的治療, 胆管閉塞, ネオプレーン
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