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日外会誌. 95(12): 849-859, 1994
原著
外科における septic DIC の特徴的病像の発来機序とその対策に関する臨床的実験的検討
I.内容要旨最近8年間に防医大1外で経験したDIC患者35例を,外科的重症感染症を背景とするS群24例と非感染性の進行癌C群11例に分け,DICに関連する臨床症状と各種検査値を比較した.その結果S群はC群に比べ臓器障害が前面に出やすく出血症状は軽いこと,検査値ではfibrinogenの減少,FDPの増加が有意に軽く,またα2-PI活性の低下やPICの上昇はほとんど見られないなど線溶系の活性化が弱い特徴が見られた.そこでseptic DICでは血栓に対する二次線溶亢進の生体反応が何らかの因子によって抑制されている可能性を想定し,家兎腎皮質plasminogen activator (PA) 活性に及ぼすエンドトキシン(Et)の影響をin vitro並びにin vivo系(EtによるShwartzman反応)で検討した.その結果in vitro系では顆粒球や血清の添加で,またin vivo系では惹起注射後6hrで,それぞれEtによりPA活性が有意に抑制された.
次にEtショック時のchemical mediatorの一つであるPAF (Platelet Activating Factor) に注目し,septic DICにおけるその役割について臨床的実験的に検討した.まず最近2年間に経験したS群8例とC群4例の血中PAF並びにEt値を測定して各凝血学的検査値と比較した結果,S群はC群に比べ血中PAF値が有意に高値で,しかもEt値との間に正の,また血小板数との間に負の相関関係をそれぞれ認めた.そこで次ぎにEtとPAFそれぞれの血液凝固線溶系などの生体作用を実験的に比較検討した.その結果家兎へのEt投与による血圧低下や血小板数減少は,PAF投与によりほぼ再現でき,しかもEt投与によって血中PAF値は著しく増加し,血小板数の変動とは逆相関関係であった.しかもこれらの変化は抗PAF剤で改善され,特に血小板数減少に対してはprotease inhibitorに比べ優れた阻止効果を認めた.
キーワード
Septic DIC, エンドトキシン, Plasminogen activator, PAF, 抗 PAF 剤
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